女犯考

女犯騒ぎも谷中の延命院や、堀の内の妙法寺の事件などは、余りにも書きつくされて、少々鼻についてきた。

ここには女犯、男色、尼僧の情痴生活につき、出来るだけ幕末から、明治の初期にかかつた物語のうちから、世間に知られてゐないものだけを記す事とした。

(講談雑誌一八ノ九)